法律

破産か自主再建か

破産とは

 破産するというフレーズや自己破産というフレーズを不況下ではよく聞きますが、そもそも破産の手続は、破産法という法律に従って処理される手続で、裁判所に破産の申し立てをすることで、破産の手続が始まります。

 破産手続は、債務超過に陥った債務者が白旗をあげて、持っている財産をお金に換えて債権者に配り、それでも返済できない債務について、債務の返済から完全に開放する最終手段で、債務者の救済効果としては非常に高い手続になります。

 債務超過に陥っている債務者の台所事情は人それぞれの千差万別ですので、債務を抱えている者の状況により違いはできてます。

 破産手続を選択するのか、思いとどまり自主的再建を目指すのか、その見極めはどのような基準で判断すればいいのか悩むところです。

破産手続を選択する基準

 破産手続を選択すべきかどうかの判定要素としては、負債額、債権者数、債務者の収入、債務者の毎月の生活費、扶養家族の数、保証人がいるか否かなどの事情を総合的に検討することのほか、周囲の関係者をどれほど巻き込むかなどの社会一般の事情も考慮して、破産にするか自主再建にするかの選択をするべきだと考えられます。

破産手続を選択しない場合

 では、破産せずに自主再建の道に行くとした場合に、具体的には、次のような台所事情を考慮して、債権者と話し合える場合には、支払不能でないとして、破産手続を選択せずに返済を続けることになります。

 生活保護や年金受給者ではなく、一定の収入がある者が最低限の自主再建の道があると思われます。

①毎月の返済額の減額を債権者が承諾した場合

②返済期間などの延長を債権者が承諾した場合③手取り給与から生活費を差引いた1月分の金額により返済継続で、残額の支払いに、3~5年以上にならない負債の場合

破産のデメリット

 破産手続に踏み切った場合には、つきまとうデメリットとしては、イメージが悪いとか、世間でうわさされるとかの風評面のほかに、実質的に、破産手続で債権者のために自分の財産を手放す必要が生じることや資格の取得や資格の保有が制限されることがあります。

意外と知らない、もし破産になったらどうなるか

 破産手続を始めた場合には、事実上も法律上も、いろいろな影響が生じてきます。

★実は戸籍や住民票へ破産したことの記載がされることはありません。

★選挙権がはく奪されることはありません。

★氏名や住所が官報に掲載されますが、官報を見る人は少数です。

★弁護士を介して破産をすれば、積極的に破産したことを言わない限り、家族や職場に知られずに手続を進められます。

★家財道具などの全ての財産が取り上げられるわけではなく、おおむね20万円以上の価値のある財産が取り上げられます。

★家族名義の財産は取り上げられませんが、破産前に積極的に名義変更などの隠匿を行った場合は責任追及されます。

★金融機関と取引が一切できないわけではないですが、経済的信用がなくなるため、融資やローンを組めなくなります。

★破産をしても結婚は自由にできます。
★破産により事実上営業ができなくなりますが、営業することは禁止されていません。
★クレジットやローンは、業界のブラックリストに掲載され、取引が5~7年間できなくなり、デメリットで一番大きいです。

★破産手続中は、法定された資格が停止されます。破産手続が終了し、免責が確定した場合は資格停止も終了し、完全に復権します。

★過去7年以内に免責を受けた者は、免責が許可されず債務が完全に消えません。

★借金の大半がギャンブルや遊興費の場合は免責が許可されません。

★詐欺等の手段でした多額の借金は、免責されない場合があります。