民法・民事訴訟

共同訴訟とは

共同訴訟とは

 通常の訴訟において、原告の数と被告の数は1対1となる形態が基本形と言えます。

 ただ、訴訟の中には、集団で訴えを起こしたり、複数の者を訴えたりする場合のように、一つの手続に原告又は被告のどちらかの同一側に立つ人数が複数登場して訴訟を行うことがあります。

 その場合を民事訴訟では共同訴訟と言い、同一側に立つ人のことを共同訴訟人といいます。

 共同訴訟では1対1のような基本形態の訴訟とは規模や複雑さも増すことや、紛争を統一的に解決できると、当事者にとっても審理の重複や結果の矛盾を減らすことができます。

 ただ、複雑混迷を極めないようにするためにも、民事訴訟上では、様々な決まりが定められています。

共同訴訟の種類

 共同訴訟は複数の者が、訴訟に関わるため、いろんな種類の共同訴訟が用意されています。

①合一的な訴訟の終結のために強く共同訴訟関係を維持することを目指した必要的共同訴訟

②必要的共同訴訟に準じますが、必要的共同訴訟よりも緩い関係の類型である類似必要的共同訴訟

個々の共同訴訟人の別個独立性を尊重する通常共同訴訟

単に弁論や裁判を分離せずに被告を同一の訴訟での審理をしてほしいと原告が申し出る同時審判申出共同訴訟

 などの種類があります。

共同訴訟をするための要件

 共同訴訟人の手続保障や訴訟遅延の防止への配慮をする必要から、併合して共同訴訟をする場合には、請求する中身に関連性が要求されています。

 そのことは民事訴訟では主観的併合要件と言います。では、その主観的併合要件とはどのようなものでしょうか。

 民事訴訟法38条では、主観的要件として3つのパターンを用意しています。

 なお、この主観的要件は被告によって異議を言わすに審理に応じると、責問権を失い、審理はそのまま進行します。

3つの主観的要件とは

①権利・義務が共通であることです。

 例えば、連帯債務者同士や共有者同士のように同じ一つの義務を負っている者同士への同時に請求をする場合などがそれにあたります。

②権利・義務が同一の事実上及び法律上の原因に基づくことです。

 例えば、同一の事故という不法な出来事に基づく複数被害者による加害者への請求がそれにあたります。

③権利・義務が同種かつ事実上及び法律上同種の原因に基づくことです。

 例えば、被告自体は全く関係ない何社かの消費者金融会社ですが、原告が各会社にそれぞれ過払金返還請求権を有している場合には、原告の消費者金融への過払金の返還を求めるという同種の原因に基づくような場面です。

共同訴訟人独立の原則

 共同訴訟においても、各共同訴訟人は独立に訴訟を進めることができ、一人が行った訴訟行為や生じた事項については、他の共同訴訟人や相手方の関係においても、何らの効力は生じず、訴訟を進める権利は制限を受けません。

 そのため、共同訴訟人間では、主張は共通であるとすることはできず、それぞれが援用をしない限り、他の共同訴訟人の主張を判決の基礎とすることはできません。

 ただ、証拠に関しては、証拠というものはこの世に1つしかないため、他の共同訴訟人による証拠の援用が無くても事実認定の資料とすることができるとされており、このことを証拠共通の原則と言います。

 さらに、裁判官は、弁論手続に現れた当事者の態度、書類提出スピード、手続で得た資料などを「弁論の全趣旨」として裁判の資料とすることができる(民事訴訟法247条)ため、他の共同訴訟人の訴訟行為も弁論の全趣旨として、訴訟の資料とする場合には判決の基礎にすることができます。

 共同訴訟人は、他の共同訴訟人の自白があっても、請求を否定して争うこともでき、上訴、請求放棄、和解、取下げも各共同訴訟人が自由にできます。ただし、上訴した場合には、不服を申し立てた人のみの請求が上訴審に移行します。

 また、訴訟の中断や中止についても他の共同訴訟人に影響しないです。

固有必要的共同訴訟

 共同訴訟の中には、共同訴訟人の全員について、訴え、訴えられることが要請され、最終的結論も同一になることが要請される訴訟類型があります。

 この類型は固有必要的共同訴訟といいます。

 関係するすべての者が当事者として訴訟に参加してならなければ口頭弁論終結した段階で当事者適格がないものとして却下されることになります。

 口頭弁論終結時までに訴訟に参加して当事者が全員そろっておけば当事者適格は満たされるとされています。

 また、一部の当事者が参加を拒否した場合には、その者を共同被告として強制的に参加させることもできるとされています。

具体例

 では、どのような訴訟の類型が固有必要的共同訴訟に当てはまるのでしょうか。

 共同訴訟についての判例がいくつか存在し、それらの判例は、類型的に、大きく分けて3つのカテゴリーに属する者を固有必要的共同訴訟の当事者としています。

①訴訟の対象となった権利関係についての一定の管理処分権を有する破産管財人や選定当事者者が数人いる場合のその者全員

②土地の境界画定や遺産確認の訴え、役員の解任の訴えのような他人間の権利関係の変動が生じる場合もその当事者全員

③共有者の所有権に関する訴訟で共有者以外の第三者などに対外的に共有権を主張するような場合の共有者全員

 などが、固有必要的共同訴訟の当事者であるとされています。

基準

 当事者適格があるかどうかが、固有必要的共同訴訟の当事者となる重要なポイントであるため、固有必要的共同訴訟であるかどうかの基準が問題となります。

 判例は、当該訴訟の対象物について管理処分権の行使を全員が対外的に行った上でないと画一的な訴訟の確定ができないような場合で、対内関係において誰かが行使すれば矛盾を生じさせることなく、他の全員のために管理処分が可能で、その結果として合理的な解決ができるかという基準により固有必要的共同訴訟になるかどうかを判別していると考えられます。

類似必要的共同訴訟とは

 訴訟自体は共同して行う必要はなく、各々で訴訟を提起することもできます。

 しかし、判決の効力が法律の規定で他の者にも波及すると定められている場合に、判決が区々に出されてしまい矛盾が生じてしまうことをさけるために、時を異にして訴えられた訴訟に対し、裁判所がそれらの訴訟を併合して審理することが要請(会社法837条)されている共同訴訟の類型になります。

 会社の組織内手続の有効無効の判断、婚姻関係の有効無効の判断、住民訴訟のような対世的に画一的な結論が要請されている判断などの類型が類似必要的共同訴訟になるとされています。

必要的共同訴訟の審判とは

 必要的共同訴訟では、共同訴訟人による訴訟行為のうち、共同訴訟人の間に不利益をもたらす取下げや、請求の放棄や認諾などの訴訟行為は必ず全員でしないと効力がありません。

 一方で相手方が行う訴訟行為は、その影響が他の共同訴訟人に不利益となったとしても、誰か1人に対して訴訟行為をしてしまえば、全員に効力が生じるものとされています。

 共同訴訟人の一人に生じた中断や中止は他の共同訴訟人に及び、上訴も一人が上訴すれば、他の共同訴訟人が上訴しなくても、全員が上訴人になり、事件は確定せず、上訴審への事件が移行します。

 ただし上訴期間は共同訴訟人の各々で進行します。

 ただし、住民訴訟や株主代表訴訟に代表される類似必要的共同訴訟では、訴訟追行意思を失った共同訴訟人をその意思に反してまで上訴人とすることまでは判例は要求していないようです。